切り取ってよ、一瞬の光を

エンターテイメントの話

予定されていた鑑賞会とすばるくんの話


前々から予定していたことですが、よりによって4月15日に、大人数かつ大画面で関ジャニ∞を観る会に参加しました。

 

不穏なお知らせメールを目にして、まさかね、いや冷静に考えていいお知らせなわけないよな、を繰り返しながら長い長い1時間強を過ごしました。こんなことならひと思いに言ってくれと思いました。ワンクッション挟む意味あるのか、不安を煽りすぎてクッションになってないよと思いました。

ファンクラブページは案の定繋がらず、先にツイッターで把握して、色味のないお知らせページを見ました。会見でのスーツ姿のすばるくんをネットニュースで見ました。

 

とにかく信じられなくてぼんやりとしながら、でも集まるのが今日でよかったと思いながら、動揺のあまり集合時間も乗換もハチャメチャに間違えて遅刻して辿り着きました。

友人たちと、どうするよ……と言いながら、それでもジャムコンのオープニングに高揚感を煽られて、でかい画面に映し出される顔のいい男性たちに歓声を上げました。

 

ライオンで吠えるすばるくんを見て息を呑み、象で命を燃やすように歌うすばるくんを見て言葉を失い、Trafficで照れたように微笑むすばるくんを見て悲鳴を上げました。

こんなにアイドルなのにどうして辞めてしまうんだとか、すばるくんがいなくなったらこのパートは誰が歌うのか、そもそも今後歌われないのではとか、ニュースを知った時点では現実味がなかったことがひとつひとつ突きつけられてきました。

なんでなん……嘘でしょ……とぽつぽつと話す声がだんだんとすすり泣きに変わって、お通夜のようでした。三十代の女性6人が集まってアイドルのコンサート映像を見ながら嗚咽していました。

 

時折、「えっ顔が良い」「りょおちゃん」「可愛い」等と浮かされ、MCで楽しくて仕方がないように笑う7人の姿を見て泣き笑いして、JAM LADYからの流れで踊り狂って、やっぱり関ジャニ∞のコンサートは最高に楽しいなと思いました。

いちばん心をえぐられたのは、「キング オブ 男!」の「つっぱって!」で手に手を取るすばるくんと嬉しそうに笑みをこぼす亮ちゃんの姿でした。亮ちゃん、すばるくんのこと大好きなのに大丈夫かなと思い、もうこの光景が見られないことが受け入れられなくて、手が震えました。

 

「Answer」と「ノスタルジア」について、私はこれまであまりのエモさにそれ以上のことを言及できずにいましたが、「三馬鹿と年下4人って、特に何周年でもないのに随分と強いカードを切ってきたな」と思っていました。でもそれは結果としてすばるくんが参加する最後のユニット曲になってしまいました。すばるくんが意図したのではなく、誰よりもオタクの目線で関ジャニ∞を見ている大倉くんの発言から実現したことが奇跡のようです。

 

私にとっては三馬鹿の歴史に触れるのはおそれ多いのですが、はじけるような笑顔でキックボードに乗っていた細っこい少年たちの構図を、人気アイドルとなった仲良しおじさんたちが再現しているのを見るだけで、共に過ごした時間の重さを思って胸を打たれます。関ジャニ∞もそうですが、特に三馬鹿は、ひとりひとりは少しいびつなのに、組み合わさった時にお互いを補い合うようにぴたっとはまって、ひとりのときより何倍にも強くなるところが好きでした。

 

別れの曲なのに「みなさんへのラブソングです」と紹介されることに違和感を覚えていた「I to U」は、すばるくんが関ジャニ∞のコンサートで歌った最後の曲として聴くと、まあ見事にそのとおりでした。

 

あらためて観ると、関ジャニ∞の歌は、夢を追う、進むべき道、共に歩む仲間、迷っている背中を押すといったテーマの曲が多いことに気付かされました。ずっと私たちが励まされていた曲だったのに、コンサート当時には既に夢を追うことを考えていたすばるくんとそれを知らない6人が歌う曲が、すべて今のすばるくんと関ジャニ∞のことを歌っているかのように響いてきました。楽しくて前向きで力強くてかっこよくて優しくて少し切なくて、どれも大好きな関ジャニ∞でした。

よりによってこの日に集まれて、まだちゃんと自覚できていない傷にジャムを塗り込んで、関ジャニ∞が大好きだという思いを共有できてよかったと思います。そうでなければもっと深刻なことになっていた気がします。

 


すばるくんは不動の赤でセンターで愛される才能を持った人です。「すばる」はどうみても主人公の名前です。少なくとも私が見ていた関ジャニ∞のファンのみなさんは「うちには渋谷すばるがおるんやぞ~~ドヤァ〜〜!」と思った経験があると思います。それくらいすばるくんは強い存在です。

私が好きな横山くんは特別な存在だけど、別枠ですばるくんのことも特別に思っていました。それは横山くんにとって、関ジャニ∞にとって、すばるくんが特別な存在だと思っていたからです。事の重大さを説明したかったのですが、なんだかヴェルタースオリジナルみたいなことを書いてしまいました。

つまり、グループからメンバーひとりが抜けるのは単なる引き算ではなくて、グループを変容させてしまう事態です。関ジャニ∞はキャリアのあるプロだしそんなにヤワな人たちではないと思っていますが、グループをグループたらしめている核のように見えていたすばるくんがいなくなって、実力や商業的にではなく、心の拠り所がなくなってしまわないか心配です。

【追記】

蛇足ですが、すばるくんだけが圧倒的な存在というわけではなく、関ジャニ∞はひとりひとりが同じ大きさのパズルのピースで、真ん中に嵌るのがすばるくんだと思っていました。

 

私はアイドルのすばるくんが好きでした。すばるくんは音楽の神様に愛された人だと思います。そのすばるくんが、アイドルとして関ジャニ∞のメンバーと音楽で高みを目指すところを見ていたいと思っていました。すばるくん自身が口にしていたとおり、そう遠くない将来、他のアーティストが誰も敵わない唯一無二のグループになると思っていました。すばるくんのいる関ジャニ∞でそれが見られないのが残念で悲しいです。

関ジャニ∞のメンバーがもっと若くて不安定だった時期や、閉塞感を打開しようとしていた「新年会」の頃ではなくて、どうして今なんだろうと思います。絶好調だし、何も不足はないように見えます。メンバーに散々音楽のこと好きにさせといて、すばるくんよぉ〜〜!!と思います。

 

でも、当たり前ですが、すばるくんの人生はすばるくんのものです。会社員なら、目指す道への手段として退職や転職をするのはよくあるし、仕事や会社がクソでやってらんないから辞めるのもアリだと思います。

だから、お母さんに「五千円あげるから」と言われて受けたオーディションから21年、不遇な時も不安定な時もあったはずなのにずっとジャニーズを続けて、ここ数年は全力でアイドルしてくれた36歳のすばるくんを思うと頭が下がるし、ありがたいなぁという気持ちです。

 

 

会見やメンバーのメッセージ、ネットのニュースなども見ました。

もしすばるくんを説得できる可能性があったとするならそれを任せられるのは横山くんで、最後通告の役割を担えるのは村上くんで、好きすぎて何も言えなくなるのは丸ちゃんで、包み込むように受け入れて背中を押せるのはヤスくんで、しつこいくらいに止めて最後は尊重するのが亮ちゃんで、ファンが訊きたいことを全部訊いてくれるのは大倉くんで、みんな私が知っている関ジャニ∞で、悲しいのにわかりすぎて笑ってしまいます。決心した目でこくりと静かにうなずくすばるくんの姿も目に浮かぶようです。

 

でも私は呑気で鈍感なオタクだったので、何も気づきませんでした。決意したすばるくんも、どうにかできないかと心を砕いていたメンバーも、裏で起きていたことをとても上手に隠して仲良く人前に立っていたのだなと思います。プロの仕事です。

ただ、誰も悪くないのに大好きな人たちが葛藤して悲しんでいたことと、自分が何も気づかなかったことが辛いです。関ジャニ∞があまりにも魅力的で仲良しで楽しそうで強かったから、夢のような時間がこれからもずっと続くような気になっていました。

 

 

私は関ジャニ∞のファンになるまで、家族でも友人でも恋人でもないのに、自分の生活や人生にめり込んで色を変えてしまう存在を知りませんでした。

いわゆる「推しの尊さ」を体感できたおかげで、世の中には様々な「推し」を持つオタクがたくさんいて、「推し」はその人にとって価値ある存在で、応援したり元気をもらったり、時には「推し」のことで落ち込んでしまうとわかりました。ジャンルが違えど「推し」に対するオタクのマインドはだいたい同じだなと思いました。

 

関ジャニ∞のファンになっていなければ、今回のことでショックを受けている人を無神経に茶化したり、軽率にわかったようなことを言ってしまっていたかもしれません。

「推し」を持たない人に共感を強いるつもりはありませんが、オタクにとっての「推しの尊さ」を理解できるようになったのは、私が関ジャニ∞好きになって良かったことのひとつです。

 

 

ものすごくとりとめのないことを書いてしまいました。情緒が現れています。

数日経ちましたが、「すばるくんがいなくなって6人の関ジャニ∞が失速したとかすばるくんも辞めない方が良かったなんて言われたら耐えられないからめちゃくちゃに推してやる」という気持ちと、「すばるくんがいなくなるなんてそんなことあっていいのか」という気持ちが交互にやってきます。

関ジャニ∞が大好きで、ファンになって楽しいことがたくさんありました。本当は7人でずっと仲良くキャッキャして笑っていてほしかったけど、すばるくんのセンスと愛がある笑いをもっと見ていたかったけど、関ジャニ∞もすばるくんも楽しく幸せに暮らしてほしいし、彼らが納得できる形で成功してほしいと思います。そしてまた交錯する時が来ることを願わずにはいられません。がむしゃらで強くてかっこいい人たちなので、今の悲しくてやるせない気持ちを覆すような、想像を超える日が待っていると信じています。